~ハラスメント協議会BLOG~

特定非営利活動法人ハラスメント協議会がハラスメントの基礎知識や事例などをご紹介するブログです☆

【パワハラ】 事例紹介~上司のパワハラによって自殺に至った事例~

皆さま、こんにちは。

ハラスメント協議会でございます🌼

 

前回のブログでは今回もモラハラについて

ご紹介しますと書いていましたが、

パワハラの事例を紹介してほしい」という

リクエストをいただきましたので、

今回はパワハラの事例をご紹介したいと思いますひらめき電球

 

来週の月曜日更新予定のブログでは、

家庭で起こるモラハラについてご紹介できると思います!!

 

 

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今回ご紹介する事例は、
「上司の言動により精神障害を発症し、
自殺に及んだと判断された事案」 です。
 
●結論
上司の言動によって、部下は客観的にみて精神疾患を発症させる程、
過剰な心理的負荷を受けたとして、精神障害発症および自殺は、
業務に起因したものと判断し、労災保険給付の不支給処分を取り消した。
 
 
●概要
Aさんは、医薬品の製造、販売などを行う▲社で、
医療情報担当者として勤務していました。
新しく上司となったB係長はAさんに対し、
営業成績や仕事の仕方に関して、しばしば厳しい言葉を浴びせました。
するとAさんの体に変調が現れ、営業上のトラブルも生じるようになりました。
そしてその後、Aさんは自殺してしまいました。
Aさんの妻が労災保険給付を請求しましたが請求は認められず、
妻は不支給処分の取り消しを求めて訴訟を起こしました。
 
●判決のポイント
業務と精神障害の発症との間に相当因果関係が認められるためには、
ストレス(業務による心理的負荷と業務以外の心理的負荷)と
個体側の反応性、脆弱性を総合的に考量し、業務による心理的負荷が、
客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重であるといえる場合には、
業務に内在または随伴する危険が現実化したものとして、
当該精神障害の業務起因性を肯定するのが相当である。
 
ICD-10のF0~F4に分類される精神障害の患者が自殺を図ったときには、
当該精神障害により正常な認識、
行為選択能力及び抑制力が著しく阻害されていたと推定する取扱いが、
医学的見地から妥当であると判断されていることが認められる。
業務により発症したICD-10のF0~F4に分類される精神障害
罹患していると認められる者が自殺を図った場合には、
原則として、当該自殺による死亡につき業務起因性を認めるのが相当である。
(ICD-10:国際疾病分類第10版)
 
Aさんが遺書においてB係長の言動を自殺の動機として挙げていること、
AさんがB係長の着任後、
しばしばB係長との関係が困難な状況にあることを周囲に打ち明けていたこと、
Aさんの個体側要因に特段の問題は見当たらないこと
について当事者間に争いがないことから、
Aさんが精神障害を発症した平成14年12月末~平成15年1月の時期までに
Aさんに加わった業務上の心理的負荷の原因となる出来事としては、
B係長のAさんに対する発言を挙げることができる。
 
B係長によるAさんに対する発言として、
「存在が目障りだ、居るだけでみんなが迷惑している。
おまえのカミさんも気がしれん、お願いだから消えてくれ。」
「車のガソリン代がもったいない。」
「お前は会社を食いものにしている、給料泥棒」
「肩にフケがベターと付いている。お前病気と違うか。」
などが認められる。
 
B係長はAさんについて、
部下として指導しなければならないという任務を自覚していたと同時に、
Aさんに対して強い不信感と嫌悪の感情を有していたものと認められる。
 
上司とのトラブルに伴う心理的負荷が、
企業等において一般的に生じ得る程度のものである限り、
社会通念上客観的にみて精神障害を発症させる程度に過重であるとは認められない。
しかしそのトラブルの内容が、通常予定されるような範疇を超えるものである場合には、
従業員に精神障害を発症させる程度に過重であると評価されるのは当然である。
 
B係長の言葉は、10年以上の経験を有するAさんのキャリアを否定し、
Aさんの人格や存在自体を否定するものもある。
また、B係長の性格と他人に対する態度は、
自分の思ったことや感じたことを、特に相手方の立場や感情を配慮することなく、
大きな声で傍若無人
(受ける部下の立場からすれば威圧的に)発言するというものである。
 
●コメント
「上司から業務上の厳しい言動を受けた部下が自殺した場合、
かかる自殺について業務起因性が認められる場合がある。」
 
今回の事例は、B係長が、部下であるAさんについて、
営業社員としての身なりや営業姿勢に問題があると感じ、
指導しなければならないという任務を自覚するとともに、
Aさんに対し強い不信感と嫌悪の感情を有していたために、
行き過ぎた言動に出たものである。
上司は部下に注意指導するときには、
部下の人格や存在自体を否定するような言動や、
嫌悪の感情に基づく発信はせず、
相手の立場や感情に配慮する必要がある。
 
●出典
厚生労働省 あかるい職場応援団 ハラスメント基本情報
第54回 「上司の言動により精神障害を発症し、自殺に及んだと判断された事案」
国・静岡労基署長(日研化学)事件 より
 
著者プロフィール:
荻谷 聡史(おぎや さとし)
安西法律事務所弁護士
 
 
今回ご紹介した事例は、
上司の暴言などのパワハラにより、身体的な不調や精神的に追いこまれた結果、
Aさんは自殺してしまいました。
Aさんの周囲の社員やB係長の上司、企業自体がパワハラを把握し、
職場環境の改善などをはかることができていれば、
Aさんは自殺することはなかったかもしれません。
 
上司に意見を申し出ることは簡単なことではないかもしれませんが、
行き過ぎた指導だと思える行為はパワハラである可能性があるため、
勇気ある行動が誰かの命を救うことに繋がるかもしれませんクローバー
 
本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!おねがい
 
 
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